グラスウール充填断熱の標準施工法を断熱部位ごとに解説いたします。
ご覧になりたい下記の断熱部位をクリックしてください。
【1】~【5】の手順で断熱/防湿施工を行います。ご覧になりたい手順の施工をクリックしてください。
断熱工事の前に、あらかじめ床下地盤面の防湿処理を行います。
浴室周りでは、ユニットバスを搬入・設置する前に断熱施工を行います。
これはユニットバスを設置してからでは、壁に断熱材を充填できなくなるからです。
最下階の床全面に断熱材を施工します。とくに押し入れやクローゼットの中、床の間、階段下などは、断熱材を入れ
忘れやすいので注意が必要です。
こうした部分では、あらかじめ根太を施工しておかないと断熱し忘れることが多いので、本来根太を必要としない場
所であっても断熱施工のために施工しましょう。
2階の床を張る前に外気に接する床の部分を断熱施工します。外気に接する床は、一般の床よりも断熱厚さが必要で
す。通常、一般の床で使用するグラスウールボードを2層で施工すれば必要厚さが確保できます。施工の際にはあら
かじめ根太の間に受け材を施工します。
防湿フィルム付きグラスウールを柱・間柱間に充填施工し、柱・間柱の見附面にタッカー釘で留め付けます。留め付
けはおよそ200ミリ間隔です。
上部は桁・胴差まで張り上げることと、下部は防湿フィルムを床合板にと留め付けることを忘れないようにします。
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浴室にユニットバスを使用する場合、工程上かなり早い時
期に搬入されます。ユニットバスが先に設置されてしまうと、
ユニットバスに面した外壁や天井に断熱材を充填すること
が難しくなってしまい、結果的に断熱欠損となる場合があり
ます。従って、浴室周りの断熱工事は、ユニットバスの搬入
前に済ませてしまうことが大切です。
浴室の床は、土間床外周部の基礎立ち上がり部分に基礎
断熱を行い、基礎天端と土台との取り合い部分は気密パッキ
ンを使用します。
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(1)防湿フィルム付きグラスウールを柱と間柱の間に充填し、間柱の見附面にタッカー釘で留めつけ、仕上げは石こうボード等で押さえます。
(2)配管の外側にグラスウールを入れます。
(3)石こうボード等で押さえにくい部分は気密テープで張りつけます。
(4)防湿フィルムの耳は木材で押さえ浮き上がらないようにします。
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(1)ユニットバスが土台に乗せかけるタイプの場合、充填し
たグラスウールや防湿層を破ってしまうことがありますので、
脚のついた自立型を推奨します。
(2)気密パッキンを使用した基礎断熱部の床下は室内と同じ
扱いになりますので換気口を設けないようにします。
断熱・防湿施工が完了してから
ユニットバスを施工します。
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ユニットバスを使用する場合は、床下点検口を設けなければなりません。そのため、住宅が床断熱の場合は注意が必要です。
浴室と洗面所が異なる床下空間となるため、人通口の部分に断熱性と気密性を確保するための措置を講じなければなりません。
基礎断熱の断熱材と気密テープを使用し、人通口の断熱性と気密性を確保するためのふたを施工した例
浴室と洗面所が同じ床下空間となるため、断熱施工が容易になります。
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基礎天端と土台との取り合い部分は床下換気のため床下通気
を確保できる基礎パッキンを施工しますが、土間床の断熱施
工においては必ず気密パッキンを使用します。断熱材は、基
礎外周の立ち上がりの内側か外側、または両側に施工します。
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(1)浴室の外壁の断熱は、ユニットバスの搬入前に施工する。
(2)浴室周りの土間床部では、土台に気密パッキンを施工する。
(3)玄関・勝手口の土間床部では、土台に気密パッキンを施工する。
最下階の床は、全面にグラスウールを入れ忘れることのないように注意して施工
します。床合板は、下地のある部分で継ぐか、実付のものを使用し、それ以外の
場合は、気密テープで目地処理を行います。
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(1)床用グラスウールボードは、防湿層を室内側に向けて施工します。
(2)根太間隔など寸法が合わない場合には、カッターであらかじめカットしてから施工してください。すき間が生じる場合には、グラスウールの端材を詰めます。
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次の部位は入れ忘れに注意してください。
階段下や床の間など、根太を打たない場合もありますが、断熱の連続性のためには根太を打って断熱施工するようにします。床の断
熱では、断熱材の入れ忘れに注意して施工します。
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(1)断熱材の入れ忘れに注意する。
(2)床合板の継ぎ目の処理を行う。
床と壁との取り合い部では、床下からの冷気が壁の中に侵入し、グラスウールの断熱性能を低下させたり、内部結露を発生させたりする原因となりますので、忘れずに気流止めを施工します。
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(1)
外側まで床用グラスウールボードをすき間なく施工します。
(2)
気流止めとして乾燥木材を間柱の間に納まるようにカットして施工します。
(3)
気流止めの乾燥木材を留めつけます。
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(1)外壁と床の取り合い部のすき間には、グラスウールボードを充填し、気流止めを施工する。
床を根太のない根太レス床(剛床)とする場合は、外壁や間仕切り壁との
取り
合い部で気流止めが省略できます。施工には、専用金具を用います。
金具およびグラスウールボードには各種の製品があります。床合板は、
下地の
ある部分で継ぐか、実付のもの
を使用し、それ以外の場合は、気密テープで目
地処理を行います。
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(1)規程のピッチに合わせて大引きに専用金具を取り付けます。
(2)大判の床用グラスウールボードを敷き込むように施工します。
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(1)不織布面を下面にして土台、大引間にグラスウールボードを押し込みます。
(2)不織布の耳を土台、大引の天端にタッカーで留め付けます。
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(1)グラスウールボードがたわまないよう専用金具、または不織布付グラスウールボードなどを使って施工する。
(2)床合板の継ぎ目の処理を行う。
二階の床合板を張る前に根太の間に受け材を施工し、床用グラスウールボードを
充填します。外気に接する床は一般の床よりも高い断熱性能が必要となります。
一般の床用のグラスウールボードを流用して二層に施工すると効率的です。
床合板は下地のある部分で継ぐか、実付のものを使用し、それ以外の場合は、
気密テープで目地処理をします。
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(1)
根太の間に受け材を施工します。
(2)
一層目の床用グラスウールボードを施工します。
(3)
押し込み過ぎに注意して、二層目を施工します。
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(1)2階の床合板を張る前に根太の間に断熱材の受け材を施工する。
(2)受け材の設置後、2階の床合板を張る前にグラスウールボードを押しこみすぎに注意して施工する。
(3)床合板の継ぎ目の処理を行う。
壁の断熱施工では、野縁を組む前にグラスウールと石こうボードを胴差・桁部分
まで張りあげることが基本です。グラスウール付属防湿フィルムを室内側に向
け、柱と間柱の間に充填し見附面にタッカー釘で留めつけます。防湿フィルムは
30mm以上重ねて留めつけ、石こうボード等で押さえます。
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(1)壁の上部は、胴差または桁に30mm以上重ねて防湿フィルムを留めつけます。
(2)柱と間柱の間にグラスウールを充填し、見附面に防湿フィルムをタッカー釘で留めつけます。柱・間柱との重ね幅は30mm以上です。
(3)壁の下端部は、防湿フィルムを床合板に留めつけます。重ね幅は30mm以上です。
(4)胴差し・桁まで石こうボードを張りあげます。
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天井裏等部分的であれば防湿フィルムを気密テープで押さえることも可能です。
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防湿フィルムは、間柱の見附面に留めることで連続性が確保されますので、留める位置には注意が必要です。また、防湿フィルムを
破ってしまった場合は、気密テープを貼って補修します。
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(1)野縁を組む前にグラスウールを充填し、防湿フィルムは胴差・桁に留めつけ石こうボード等で押さえる。
(2)防湿フィルムは柱や間柱の見附面に留めつける。重ね幅は30mm以上。
窓台、まぐさから床や胴差までグラスウールを充填します。
すき間のない施工をするため現場の寸法に合わせて長さや幅を詰める場合は、一
度防湿フィルムをはがしてからグラスウールをカットし、はがした部分で30mm
以上の耳を作ってタッカー釘で留めつけます。
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(1)必要に応じてグラスウールの長さや幅を詰めて充填します。
(2)防湿フィルムは柱・間柱の見附面にタッカー釘で留めつけます。
(3)下端部の防湿フィルムは、30mm以上出して床合板に留めつけます。
(4)余った防湿フィルムを切り揃えます。
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(1)窓台、まぐさのすき間にはグラスウールの端材を詰めたうえで気密テープでカバーする。
(2)グラスウールが充填できないすき間はコーキングするか気密テープでカバーする。
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(1)防湿層は、四辺とも枠材に30mm以上重ねて留めつける。
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断熱材と付属の防湿フィルムを躯体間の幅寸法より50mm程度(30mm以上)長く残して切断する。
耳をつくるために断熱材を切断する分だけ、断熱材と防湿フィルムを引き剥がし、断熱材のみを切断する。
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断熱材と付属の防湿フィルムを躯体間の長さ寸法より50mm程度(30mm以上)長く残して切断する。
耳をつくるために断熱材を切断する分だけ、断熱材と防湿フィルムを引き剥がし、断熱材のみを切断する。
筋交い部の施工方法は以下のようにします。
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(1)充てんしたグラスウールをカットする際には、背面(外壁側)にある透湿防止シートを切らないように注意してください。
(2)背面(外壁側)に面材等を使用していない場合、グラスウールが膨らん
で通気層をつぶす可能性があるため筋交い部で圧縮された部分のグラスウール
を剥いで薄くなるようにしてください。同様に、室内側もグラスウール
により石こうボードがふくらまないよう注意が必要です。
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グラスウールの防湿フィルムを一度はがして筋交い裏に充填してから、かぶせ直す
(1)
グラスウールについている防湿フィルムを床から筋交い部の高さまではがします。
(2)
筋交いの後を通して裏側にグラスウールを充填します。
(3)
筋交いのところでグラスウールに切り込みを入れ、押し込まれているグラスウールを
筋交いと同面になるように盛り上げます。
(4)
はがした防湿フィルムをかぶせ直して、タッカー釘で間柱の見附面に留めつけます。
(5)
防湿フィルムの下端は30mm以上出して床合板に留めつけます。
防湿フィルムが付属されていないグラスウールを使用する方法もあります。
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(1)グラスウールを筋交い部の裏側を通して充填し、筋交いに沿って切り込みを入れ、同面まで盛り上げる。
(2)筋交いの上に防湿フィルムを留めつけて、防湿層の連続性を確保する。
和室の真壁で間柱に横桟を取り付ける場合がありますが、この場合グラスウール
は横桟のうしろ側に充填します。
防湿フィルムの耳は受け材に留めつけます。
間柱を切り欠いて横桟を取り付ける場合は、その部分のグラスウールを押し込む
ことになります。従って、一度防湿フィルムをはがして横桟にかぶせ直し、石こ
うボード等で押さえます。
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(1)防湿フィルムは30mm以上重ね、受け材に留めつける。
(2)真壁に適した厚さのグラスウールを使用する。
(3)グラスウールを横桟の裏側を通して充填し、横桟に沿って切り込みを入れ、同面まで盛り上げる。
(4)横桟の上に防湿フィルムを留めつけて、防湿層の連続性を確保する。
間仕切り壁に気流止めがないと、床下の冷気が侵入したり、室内の暖気が壁体
内を通って逃げて行く場合があります。
そのため、間仕切り壁には気流止めを施工します。間仕切り壁の下部(最下
階)は、床の断熱施工と同じタイミングで施工し、上部(最上階)は野縁を組む
前の段階、壁の断熱施工と同じタイミングで施工します。なお、屋根断熱や
桁上断熱の場合は、間仕切り壁上部の気流止めは不要です
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1・2・3(I・II)地域:乾燥木材と気密補助材を使用。
4(III)地域以南:筋交いがある軸間は乾燥木材+気密補助材を使用。軸間に筋
交い等
の障害物がない場合は乾燥木材または防湿フィルム付グラスウールでも可。
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(1)間仕切り壁の上部(最上階)では、野縁を組むラインに気流止めとして乾燥木材を留めつけます。
(2)天井断熱の場合、気流止めの上部にグラスウールを充填し断熱します。
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(1)床との取り合い部では、間仕切り壁下部(最下階)にも断熱材を充填します。
(2)気流止めとして乾燥木材を留めつけます。
※根太レス床(剛床)の場合、気流止めは不要です。
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(1)間仕切り壁の上部(最上階)には、気流止めを施工する。
(2)天井断熱の場合、気流止めの上部にもグラスウールを充填する。
(3)最下階の床と間仕切り壁の取り合い部に気流止めを施工する。
細部の施工では、1・2・3(I・II)地域については以下のような処理が必須です。
4(III)地域以南については、防露の観点から同様の処理を推奨します。
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施工手順
(1)
コンセントボックスカバーの大きさに合わせて、カッターナイフでグラスウールに
切り込みを入れます。
(2)
防湿フィルムをはがし、コンセントボックスカバーの裏側にグラスウールを通し、
断熱欠損を防ぎます。
(3)
コンセントボックスカバーと周囲の防湿フィルムを気密テープで貼り合わせて留め
つけます。
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換気設備、冷暖房設備等の貫通部は、あらかじめスリープ、もしくは取り付け枠を
作り、柱・間柱に固定しその周囲を気密テープなどでシールするようにします。
処理方法
(1)
プラスチック系の成型品を用い周囲を気密テープなどを使ってシールします。
(2)
ブチル系のラバーシートを用い周囲を気密テープなどを使ってシールします。
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袋入れグラスウールを充填する際に、防湿フィルムなどの表皮材を引っ張り過ぎると、グラスウールの端部が押しつぶされ、断熱欠損となりやすいので注意が必要です。
こうした場合の対策としては、
(1)上下の袋口を開いてから充填する。
(2)柱〜間柱間では製品の左右端部を丁寧に充填する。
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(1)設備や配管が貫通する部分の周囲にすき間がある場合は、断熱材の端材ですき間を埋める。
(2)設備や配管が防湿フィルムや合板を貫通する部分は、気密テープで留め付ける。
(3)断熱欠損を防止するため、上下端部の袋口を開いてから充填する。
野縁の上にグラスウールをしっかりと突き付けて断熱材および防湿層が連続する
ように施工します。吊り木周りはすき間ができないように、グラスウールに切り
込みを入れて吊り木を包むようにします。野縁の下に防湿シートを施工します。
防湿シートに破れ、破損が生じた場合には気密テープでふさいでおきます。
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(1)天井部施工前(野縁を組んだ状態)
(2)グラスウールをすき間ができないように突き付けます。
(3)吊り木周りはグラスウールを切り欠きます。
(4)野縁の下に防湿シートを施工します。
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石こうボードの継ぎ目すべてに下地がある場合、防湿フィルム付グラスウールを野縁の上に施工すれば、別張り防湿シートは省略することができます。
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(1)吊り木や間仕切り壁周りにすき間ができないように注意する。
(2)押し入れやクローゼットの上部の入れ忘れに注意する。
(3)野縁の下に防湿シートを施工する。
下階の外壁の断熱を先行し、グラスウールを胴差・桁まで張り上げて石こうボー
ドで押さえます。その後、下がり壁と野縁を造作し天井断熱を行います。さらに
下がり壁部分にも防湿フィルム付グラスウールを充填し石こうボードで押さえて
断熱層、防湿層が途切れないよう、入れ忘れに注意して施工します。
また下屋の下部がユニットバスになる時や、逆に下屋の上部がベランダとなる場
合でもこのような断熱施工を行います。
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(1)
外壁を先行して断熱し石こうボードで押さえ、その後に下がり壁と野縁を造作します。
(2)
野縁の上に防湿フィルム付グラスウールを敷き込み、天井を断熱します。
(3)
外壁との取り合い部はよく突き付けて防湿フィルム付グラスウールを充填します。
(4)
下がり壁部分にも寸法に合わせてカットした防湿フィルム付グラスウール
を充填します。
(5)
防湿フィルムは30mm以上重ね、下がり壁の見附面にタッカー釘で留めつけ、
石こうボードで押さえ
ます。
(6)
天井部分に防湿シートを施工します。
▶
(1)壁のグラスウールの充填を済ませてから下がり壁、野縁を造作する。
(2)下がり壁と天井部分のグラスウールの入れ忘れに注意する。
(3)野縁の下に天井の防湿シートを施工する。
小屋裏を居室として利用する場合等、天井面ではなく屋根面で断熱する場合の施
工例です。屋根面で充填断熱をするには、垂木の間に室内側からグラスウールを
充填します。この際、野地坂の内側に通気層、防風層を設ける必要があります。
また充填したグラスウールが膨らんで通気層をつぶさないように通気層確保部材
を使用します。
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(1)
施工前の状態。
(2)
通気層確保部材を施工する。
(3)
防湿フィルム付グラスウールを充填し垂木の見附面に防湿フィルムを30mm以上
重ねて石こうボード
等で押さえます。
▶
▶
(1)グラスウール付属の防湿フィルムを垂木の見附面に30mm以上重ねて石こうボードで押さえる。
(2)野地坂の内側に通気層、防風層を設ける。